トークン

仮想通貨に関連して、「トークン」って言葉を耳にするけど、仮想通貨との違いがいまいちわからないと感じていませんか。Web3や仮想通貨は新しい分野のため言葉の定義が定着していないこともあり、似たような使い方をしている言葉が多々あります。

この記事では、トークンと仮想通貨の違いから、トークンの基礎、発行方法まで体系的に説明します。

トークンとは?仮想通貨との違いとその役割

トークンの意味

金融関連で使われている「トークン」とは特定のコミュニティで使える硬貨や紙幣以外の代用貨幣のことを指しています。この記事で紹介するWeb3領域での「トークン」は、ブロックチェーンテクノロジーを利用した仮想通貨です。トークンはブロックチェーン上で発行・管理されており、価値や特性、機能性などに応じて様々な種類が存在します。

ブロックチェーンについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

ブロックチェーンとは?仕組みや活用方法について簡単に解説

たとえば、ある企業が自社のサービスで使用できるポイントを発行する際、ブロックチェーンを利用してトークン化することで、ポイントの発行・管理・交換をより効率的に行うことができます。

トークンと仮想通貨の違い

独自のブロックチェーンを利用して発行されたトークンをコイン(ネイティブトークン)と言い(こビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨が有名)、すでにあるブロックチェーンを利用して新たに発行されたトークンが一般的にWeb3では「トークン」と呼ばれています。

トークンの中でも取引が可能なものが仮想通貨であり、仮想通貨はトークンの一部であるとも言えます。トークンにはその目的によって多くの種類が存在しており、次章で紹介するようにコミュニティのガバナンスのために発行されるものやNFTなどがあげられます。

トークンの種類とその特徴

トークンにはその役割や機能によって様々な種類があります。大きく分けて、同等の価値を持つものが別に存在するFT(ファンジブルトークン)と他にひとつとして同じものが存在しないNFT(ノンファンジブルトークン)に分類されます。

トークンの分類

・アセットトークン
実物資産(不動産、株式など)に裏付けられたトークン(資産運用のための投資手段)

セキュリティトークン:株式、債券、不動産などの実物資産または金融資産の所有権に裏付けられたトークン
SBI証券でトークンが商品化されています

ステーブルコイン:法定通貨や資産に価格が連動し、価格変動が小さい仮想通貨。決済や送金に使用される

・ユーティリティトークン
特定のサービスやアプリケーションの利用権を得るためのトークン

ガバナンストークン: コミュニティ・プロジェクトの意思決定に参加する権利が付与されるトークン。

ソーシャルトークン:特定のコミュニティやクリエイターと関係性を持つためのトークン

・NFT(ノンファンジブルトークン)
1つ1つが固有の識別子を持ち、取り替え不可能なトークン。アート、コレクタブル、ゲームアイテムなどに使用される。

SBT(ソウルバウンドトークン):ユーザーのアイデンティティや資格、実績を表すトークン。NFTで譲渡できないものを指す。ユーザーに固有のものとなる証明書などに利用

トークンの規制と法的枠組み

トークンの活用が広がる一方で、各国での法規制や監督体制の整備も進んでいます。トークンに関する主な法的枠組みについて解説します。

まず、トークンの法的位置づけや投資商品としての扱いについては、各国で議論が行われています。たとえば、証券型トークンは有価証券に該当する可能性があり、厳しい規制の対象となります。一方、ユーティリティー型トークンは商品券やポイントのような扱いになる場合もあります。

また、仮想通貨交換業者に対する登録制度の導入や、マネーロンダリング対策など、トークンを含む仮想通貨取引に関する規制も各国で整備されつつあります。日本やシンガポール、EU諸国などでは、こうした法整備が進んでいます。

トークンの活用が広がる中、各国では投資家保護や金融システムの健全性確保の観点から、法的な枠組みの整備が進められています。トークンの活用を検討する際は、最新の法規制動向にも注意を払う必要があります。

仮想通貨トークンの作り方

トークン作成のステップバイステップガイド

仮想通貨トークンを作成するには、いくつかの手順を踏む必要があります。ここでは、トークン作成のステップバイステップガイドを説明します。

まず初めに、トークンの発行目的やターゲット市場、機能などを明確にする必要があります。次に、ERC-20やBEP-20などの適切なトークン規格を選択します。その上で、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを定義し、トークンの発行量や発行スケジュールを設定します。最後に、トークンの配布方法やマーケティング、法的な課題への対応などを検討する必要があります。

例えば、ERC-20規格に基づいたトークンを作成する場合、Ethereumブロックチェーン上でスマートコントラクトを作成し、トークンの詳細を定義します。一方、BEP-20規格のトークンは、Binanceスマートチェーンのネットワーク上で作成することになります。

トークン作成には、目的の明確化、適切なトークン規格の選択、スマートコントラクトの設計、配布方法の検討など、いくつかの重要なステップがあります。これらの手順を適切に踏むことが、成功につながります。

必要な技術とツール

仮想通貨トークンを作成するためには、ブロックチェーン技術やスマートコントラクトの知識、さまざまなツールの活用が必要となります。ここでは、それらの技術とツールについて説明します。

まず、ブロックチェーンの基本原理や、Ethereum、Binance Smart Chain、Solana といった主要なブロックチェーンプラットフォームの理解が不可欠です。また、SolidityやMove言語などのスマートコントラクト開発言語の習得も重要です。これらの技術的基盤の上に、トークンの発行、配布、管理などを行うことができます。

具体的なツールとしては、Remix IDE、Truffle Suite、Hardhat などのスマートコントラクト開発環境、OpenZeppelin やERC-20/BEP-20 SDKなどのライブラリ、Etherscan やBscscan などの分析ツールなどが役立ちます。これらのツールを活用することで、効率的にトークンを作成・管理できます。

トークン作成には、ブロックチェーンやスマートコントラクトに関する専門知識と、様々なツールの活用が必要不可欠です。これらの技術的要素を十分に理解し、適切に活用することが重要です。

トークン設計のベストプラクティス

仮想通貨トークンを適切に設計するためのベストプラクティスについて解説します。トークンの機能や特性を最大限に活かすためのポイントを説明します。</

まず重要なのは、トークンの目的や用途を明確に定義することです。投資用、ユーティリティ、ガバナンスなど、目的に応じてトークンの仕様を設計する必要があります。また、トークンの供給量や発行スケジュール、分配方法なども慎重に検討する必要があります。

例えば、ユーティリティートークンの場合は、企業のサービス利用に紐づけることで、ユーザーの利用促進につなげることができます。一方、投資用トークンであれば、有限供給やインフレメカニズムの設計が重要になります。さらに、ガバナンストークンは、ネットワークの意思決定プロセスに組み込む必要があります。

トークンの設計にあたっては、目的に応じた仕様の検討、供給量管理、ユーザー体験の向上など、さまざまな観点から最適化を図ることが重要です。適切なトークン設計が、プロジェクトの成功につながります。

仮想通貨トークンの発行プロセス

発行前の準備と考慮事項

仮想通貨トークンを発行する前には、さまざまな準備と検討が必要となります。ここでは、発行に向けた主な作業と考慮事項について説明します。

まず初めに、トークンの発行目的、機能、発行量、対象市場などの基本設計を行う必要があります。また、発行するブロックチェーンプラットフォームの選定や、スマートコントラクトの作成、ウォレットやマーケティング戦略の準備なども重要です。さらに、法的な規制への準拠やセキュリティ対策、技術的な検証なども事前に十分に検討しておく必要があります。

具体的には、ERC-20 や BEP-20 といった標準規格に準拠したトークンを発行する場合、Ethereum や Binance スマートチェーンといったプラットフォームを選択することが一般的です。また、発行量の設定や分配方法、ユーティリティ機能の設計など、プロジェクトの目的に応じて慎重に検討する必要があります。

トークン発行に向けては、発行目的の明確化、適切なプラットフォームの選定、スマートコントラクトの設計、法的要件の確認など、発行前の準備が非常に重要です。これらの事前の検討を行うことが、発行の成功につながります。

発行の法的要件

仮想通貨トークンの発行を行う上では、各国の法規制への対応が重要です。ここでは、発行に関する主な法的要件について解説します。

まず、トークンが証券に該当するか否かの判断が重要です。証券型トークンは、有価証券規制の対象となるため、発行に当たっては厳格な手続きが必要となります。一方、ユーティリティートークンは商品券のような扱いになる可能性があり、規制の範囲が緩やかです。また、マネーロンダリング対策などの金融規制にも留意する必要があります。

例えば、日本では仮想通貨交換業者の登録制度が設けられており、トークンの発行者もこの規制の対象となる可能性があります。一方、シンガポールでは、ユーティリティートークンについては証券規制の対象外とされています。

トークンの発行に当たっては、各国の法制度を確認し、適切な発行手続きを踏む必要があります。証券性の判断や、関連する金融規制への対応が重要なポイントとなります。

トークン発行後の管理と流通

トークンの発行が完了したら、適切な管理と流通促進が求められます。ここでは、発行後のトークン管理とマーケティングについて解説します。

まず、発行後のトークン供給量の管理が重要です。発行量や分配方法、経済モデルなどを適切に制御し、トークンの価値を維持することが必要です。また、トークンの流動性確保とマーケティング活動も欠かせません。取引所への上場や、アプリケーションとの連携などを通じて、ユーザーの利用促進を図ります。

具体的には、一定量のトークンを流通市場に供給し、需給バランスを保つことが重要です。また、ソーシャルメディアやコミュニティ運営、広告などを通じて、認知度の向上とユーザー獲得に努める必要があります。

トークン発行後は、供給量管理、流動性確保、マーケティング活動など、継続的な運用が求められます。これらの取り組みにより、トークンの価値向上と広範な利用促進を図ることができます。

投稿者 taiyu